「ソムリエ試験やワインエキスパート試験の過去問って、どこかで手に入るの?」「独学で受けるなら、何から手をつければいい?」。ワインの資格に挑戦しようと決めたとき、最初に迷うのがこの2つです。

検索すると「過去問」をうたう問題集やサイトがたくさん出てきます。ただ、試験を実施する日本ソムリエ協会(J.S.A.)が過去の問題を公開しているかどうかは、あまりはっきり書かれていません。この記事では、協会の公式サイトと2026年度の募集要項・CBT試験の案内を読み、過去問の扱い・出題元・独学の進め方を整理します。

この記事について

筆者はワインを5年以上、日常的に飲み比べてきた愛好家ですが、ソムリエ・ワインエキスパートの資格は持っていません。そのため合格体験記ではなく、日本ソムリエ協会の公式情報(2026年10月6日に確認)をもとにした整理です。試験の条件・日程・料金は年度で変わるため、受験の前に必ず協会の最新の募集要項を確認してください。

この記事でわかることは次の3点です。

  • 過去問は公式に公開されているのかと、一次試験(CBT)の仕組み
  • 一次試験の出題元(教本)と、独学で進める順番
  • 問題集・アプリ・模擬試験を選ぶときに見るポイント

結論:公式の過去問は見当たらない。出題元は「その年度の教本」

先に結論です。日本ソムリエ協会の試験案内・募集要項・CBT試験の案内を確認した範囲では、過去の試験問題を公開するという案内は見当たりませんでした。一方で、一次試験は「その年度の日本ソムリエ協会教本より出題」と明記されています。つまり独学の軸は、過去問ではなく教本です。

独学で使えるものを、役割ごとに早見表にまとめます。

使うもの 役割 公式かどうか
日本ソムリエ協会教本(その年度版) 一次試験の出題元。一次から受験する人に配布される 公式
協会の試験案内・募集要項 受験資格・日程・試験の形式・料金を確かめる 公式
市販の問題集・スクールの教材 教本の内容を問題の形で確かめる 民間(作成元による)
問題演習アプリ・練習問題サイト スキマ時間の反復・弱点の洗い出し 民間(作成元による)
模擬試験 時間を計って本番の形式に慣れる 民間(作成元による)

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※この章の内容は 日本ソムリエ協会「試験案内」/ワインエキスパート 2026年度募集要項 より


試験の全体像(2026年度の公式情報)

ソムリエとワインエキスパートは、どちらも日本ソムリエ協会が認定する呼称資格です。ワインエキスパートは、協会の案内で「プロフェッショナルな資格ではないので職業は問わず、むしろ愛好家が主な対象」とされています。基準日に満20歳以上なら、資格や職務経歴を問わず受験できます。ソムリエは、ソムリエの職務が本職であること(全収入の60%以上をその職務で得ていること)に加え、一定期間の実務経験が受験資格になっています。

2026年度の試験の流れは次のとおりでした。

項目 ワインエキスパート ソムリエ
一次試験 CBT方式(2026年7月15日〜8月26日のうち、各自で予約した日時) 同左
二次試験 テイスティング試験(2026年9月28日) テイスティング試験(2026年9月28日。三次試験の論述試験も同日に実施)
三次試験 なし 論述試験(二次試験日に実施)とサービス実技試験=ワインの開栓とデカンタージュ(2026年11月9日)
一次の出題元 2026年度日本ソムリエ協会教本 同左

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出願期間は2026年3月2日〜7月10日でした。協会は「例年3月より出願受付を開始し、7月〜11月にわたって試験が実施」と案内しています。2026年度の一次・二次試験はすでに終わっているので、これから準備する人は次の年度の募集要項が出たら日程を確認することになります。

ワインエキスパートの受験料(2026年度・一次試験から受験する場合・税込)は、一般が1回受験で32,900円、2回受験で37,800円です。協会の会員は23,700円と28,600円です。この金額には教本代と二次試験の受験料が含まれます。最終合格後には、別に認定登録料20,950円がかかります。

そのほか、知っておくと計画が立てやすい決まりが3つあります。

  • 一次試験は最大2回:試験期間中に一次試験を2回まで受けられます。回数は出願時に選び、あとから変更・追加はできません
  • 一次通過の免除:5年以内に一次試験を通過した人は、通過の翌5年間のうち3回まで、同じ呼称の一次試験が免除されます
  • 合否はその場で:一次試験(CBT)の合否は、試験終了後にパソコンの画面で発表されます

※この章の数値・日程は 日本ソムリエ協会「試験案内」/ワインエキスパート 2026年度募集要項/ソムリエ 試験案内 より


過去問の扱い:なぜ公式の過去問が手に入らないのか

公式の過去問が見当たらない背景は、一次試験がCBT方式であることと、協会が問題の持ち出しや開示を不正行為と定めていることの2つから読み取れます。

CBTは受験者ごとに同じ問題が出るとは限らない

協会のCBT試験の案内には、CBT方式では「全く同じ問題・選択肢が出題されることはありません」と書かれています。受験者は全国の指定会場から日時と会場を予約し、パソコンに表示された問題にマウスやキーボードで解答します。紙の試験のように「全員が同じ問題冊子を解いて、終わったら持ち帰る」形ではありません。試験中に使える筆記用具とメモ用紙も、試験後に回収され、持ち帰ることはできません。

問題の持ち出し・開示は不正行為

協会の「認定試験における処分基準」と注意事項では、次のような行為が不正行為とされています。

  • 問題用紙を試験室から持ち出すこと、問題を書き写したり、撮影・録音をして持ち出すこと
  • 試験問題・解答や試験に関して知り得た情報を第三者へ提供・開示・漏洩すること(印刷物・SNS・ブログ・Webサイトなどでの発信・投稿を含む)
  • 試験合格を目的としない受験(試験問題・解答を持ち出すための受験など)

このため、受験者が問題を持ち帰って公開する、という形の「過去問」は、協会のルールの上では成り立ちません。市販の問題集やネットの練習問題は、民間のスクール・出版社・個人が教本などをもとに作った練習問題や予想問題として扱うのが実態に合った考え方です。

民間の練習問題を使うときの確かめ方

民間の問題集やアプリは、教本の内容を「問題の形」で確かめる道具としてとても役に立ちます。ただし公式ではないので、使う前に次の3点を確かめておくと安心です。

  1. 対応している教本の年度:教本は年度ごとの版で、一次試験はその年度の教本から出題されます。版が違うと内容が変わっている可能性があるため、古い版に合わせた問題だけで勉強するのは避けたいところです
  2. 解説と根拠:正解だけでなく、なぜその答えになるのか、教本のどこに書いてあるかまで確かめられるか
  3. 作成元と更新日:誰が作り、いつ更新したかが書かれているか

迷ったら、出題元である教本に戻って確かめるのがいちばん確実です。

※この章の内容は 日本ソムリエ協会「CBT試験のご案内(2026年度)」/「認定試験における処分基準」 より


独学の進め方:教本を軸に4つの段階で進める

独学は「教本を読む → 問題で確かめる → 地図と産地を固める → 時間を計って解く」の順で進めると、やることが散らかりません。勉強時間の目安は人によって大きく違い、信頼できる統一の数字もないので、ここでは順番だけを示します。

1. 教本をひと通り読む

一次試験から受験する人には、出願と受験料の支払いが済むと、その年度の教本(Book版と電子版)が届きます。最初は細部を覚えようとせず、どの分野がどれくらいの分量あるかをつかむつもりで、ひと通り読み通します。品種や味わいの基礎に不安があれば、赤ワインの主なぶどう品種や白ワインの主なぶどう品種を先に読んでおく手もあります。入門の整理が頭にあると、教本の文章が入りやすくなります。

2. 分野ごとに問題で確かめる

1つの分野を読んだら、すぐにその分野の問題を解いて、覚えたつもりの所を洗い出します。間違えた問題は教本の該当箇所に戻って読み直し、「問題 → 教本 → もう一度問題」の往復を繰り返すのが基本です。

3. 地図と産地を固める

産地・地方・村名は量が多く、文字だけで覚えようとすると混ざりがちです。地図で位置関係と一緒に覚えると、ラベルの読み方とも結びつきます。ふだん飲むワインのラベルに書かれた産地名とも結びつけて覚えると、記憶に残りやすくなります。

4. 時間を計って解く

本番が近づいたら、時間を計って通しで解き、パソコンの画面で解く感覚にも慣れておきます。一次試験を2回受験で申し込んでいる場合は、1回目の結果を見て2回目までに弱い分野を補う、という使い方もできます。

二次試験(テイスティング)の準備

二次試験はテイスティング試験です。こちらは教本を読むだけでは身につかないので、実際にワインを飲み比べ、色・香り・味わいを言葉にする練習を並行して進めます。渋み・酸味・ボディといった言葉の使い分けはワインの味わいの言葉ガイドにまとめています。筆者も日常的に品種違いを飲み比べていますが、同じ品種を産地違いで2本並べるだけでも、言葉にできる違いは増えていきます。

※この章の教本の配布は 日本ソムリエ協会 ワインエキスパート 2026年度募集要項 より


問題演習の道具の選び方

問題集・アプリ・模擬試験は、どれが上というより役割で使い分けるものです。選ぶときは次の観点で比べます。

観点 見るところ
教本の年度 その年度の教本に対応していると書かれているか
解説 正解の理由と、教本のどこを読み直せばよいかが分かるか
形式 パソコンやスマホの画面で選んで答える形に慣れられるか
反復のしやすさ 間違えた問題だけを解き直せるか、スキマ時間に開けるか
作成元 運営者・作成元・更新日が明記されているか

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ワイン学のクイズ画面。「ブルゴーニュの赤ワインの主要品種は?」という4択問題で、ピノ・ノワールを選んで「正解!素晴らしい!」と表示されている
筆者が運営する「ワイン学」のクイズで1問に答えた画面(2026年10月時点の実画面)。4つの選択肢から1つを選ぶと、その場で正誤が表示される。

上の画面は、当ブログの運営者が作っている自社サービスワイン学(ソムリエ・ワインエキスパート試験対策アプリ)のクイズです。4択の問題に答えるとすぐに正誤が出て、間違えた問題を優先して出す仕組みや、暗記カード、ボルドーの地図クイズもあります。登録なしで一部を無料で試せます。ワイン学は日本ソムリエ協会とは関係のない非公式の学習教材で、合格を保証するものではありません(自社サービスのご案内です)。上の表の観点で、ほかの問題集やアプリと比べて選んでください。


資格選びで迷っている人へ

まだ「ソムリエとワインエキスパートのどちらを受けるか」「国際資格のWSETとどう違うか」で迷っている人もいるでしょう。その段階なら、試験対策より先に資格の違いを整理しておくと遠回りになりません。それぞれの位置づけと選び方はワインの資格とは?ソムリエ・ワインエキスパート・WSETの違いと選び方にまとめています。


飲むときの注意(健康・適量について)

二次試験の準備ではテイスティングの練習が欠かせませんが、量のコントロールも大切です。味わいを確かめたら飲み込まずに吐き出す、1回に開ける本数を決めておくなど、無理のない範囲で練習しましょう。

飲酒についてのお願い:20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 お酒は適量を楽しみましょう。妊娠中・授乳中の方、車や自転車の運転前、服薬中の方の飲酒は避けてください。アルコールの影響には体質による個人差があります。体調や体質に不安がある場合は、無理をせず、必要に応じて医師等の専門家にご相談ください。


よくある質問

ソムリエ・ワインエキスパート試験の過去問は公式に公開されていますか?

日本ソムリエ協会の試験案内・2026年度の募集要項・CBT試験の案内を確認した範囲では、過去の試験問題を公開するという案内は見当たりませんでした。一次試験のCBTは受験者ごとに全く同じ問題・選択肢が出るわけではなく、配られたメモ用紙も試験後に回収されます。協会の処分基準では、問題を書き写して持ち出すことや、SNS・ブログなどで第三者へ開示することが不正行為とされています。

一次試験はどこから出題されますか?

2026年度のワインエキスパート・ソムリエの案内では、一次試験(CBT)は「2026年度日本ソムリエ協会教本より出題」とされています。一次試験から受験する人には、その年度の教本(Book版と電子版)が配布されます。教本は年度ごとの版が配布されるため、問題集やアプリもどの年度の教本に対応しているかを確かめて使うのが基本です。

市販の問題集やネットの「過去問」は使っても大丈夫ですか?

民間のスクール・出版社・アプリが作った練習問題や予想問題として使うのは一般的な勉強法です。ただし公式の過去問ではありません。対応している教本の年度、解説の有無、作成元と更新日が明記されているかを確かめ、迷ったら出題元である教本に戻って確認するのが安全です。

ワインエキスパートは誰でも受験できますか?

日本ソムリエ協会の案内では、基準日において満20歳以上であれば、資格や職務経歴を問わず受験できます(同じ呼称をすでに持っている人を除く)。一方ソムリエは、ソムリエの職務が本職であることや一定期間の実務経験が受験資格になっています。詳しい条件は各年度の募集要項で確認してください。

一次試験は何回まで受けられますか?

2026年度の案内では、試験期間中に一次試験を最大2回まで受験でき、受験回数(1回か2回か)は出願時に選び、あとから変更・追加はできません。2回で申し込んで1回目で合格した場合、2回目を受ける必要はありませんが、差額の返金はないとされています。

まとめ

  • 公式の過去問は、確認した範囲では公開されていない。一次試験(CBT)は受験者ごとに同じ問題が出るとは限らず、問題の持ち出し・SNS等での開示は不正行為とされている
  • 一次試験の出題元はその年度の日本ソムリエ協会教本。独学の軸は過去問ではなく教本
  • 市販・ネットの「過去問」は民間の練習問題として使い、教本の年度・解説・作成元を確かめる
  • 独学は「教本を読む → 問題で確かめる → 地図と産地を固める → 時間を計って解く」の順。二次試験のテイスティングは並行して練習する
  • 日程・料金・受験資格は年度で変わる。次の年度の募集要項で必ず確認する

出典


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最終更新日:2026年10月6日