ワイン売り場で「ボルドー」と「ブルゴーニュ」の棚が並んでいて、どちらを選べばいいのか分からなかった。そんな経験はありませんか。どちらもフランスを代表する産地ですが、ワインの造り方の考え方がかなり違います。

いちばん大きな違いは「ボルドーは複数品種のブレンド、ブルゴーニュは単一品種」という点です。

この違いを入口にすると、品種、ボトルの形、ラベル、格付け、合うグラスまで、ひとつながりで覚えられます。

この記事について

筆者は国内外のデイリーワインを5年以上飲み比べてきた愛好家です。ソムリエ・ワインエキスパートなどの資格は持っていません。数字や制度は、ボルドーワイン委員会(CIVB)とブルゴーニュワイン委員会(BIVB)の日本語サイトで確かめました(2026年10月12日に確認)。


結論:ボルドーとブルゴーニュの違い早見表

まずは全体を表で見てください。細かい話はこのあとの各章で説明します。

比べる点 ボルドー ブルゴーニュ
場所 大西洋に近いフランス南西部 フランス北東部
造り方 ほとんどが複数品種のブレンド 大多数が単一品種
主な赤の品種 メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン ピノ・ノワール
主な白の品種 ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン シャルドネ
ボトルの形 いかり肩(ボルドー型) なで肩(ブルゴーニュ型)
格付けの単位 主にシャトー(生産者) 主に畑の区画(クリマ)
合うとされるグラス 背が高めで大ぶりなボルドー型 ボウルが丸くふくらんだブルゴーニュ型

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覚え方はシンプルです。ボルドーは「人(シャトー)が品種を組み合わせて味を作る」、ブルゴーニュは「畑(区画)ごとの個性を1つの品種で表す」と考えてみてください。表のほかの項目もつながって見えてきます。


品種の違い:ブレンドのボルドー、単一品種のブルゴーニュ

ボルドー|6つの主要品種を組み合わせる

ボルドーワイン委員会によると、ボルドーのワインを支えるのは6つの主要なブドウ品種(赤3種、白3種)です。そして、ボルドーのワインはほとんどの場合、複数の品種をアッサンブラージュ(ブレンド)して造られるとされています。

赤ワイン用の栽培面積は、メルロが6割台、カベルネ・ソーヴィニヨンが2割強を占め、カベルネ・フランが続きます。白ワイン用ではソーヴィニヨン・ブランとセミヨンが4割台ずつで、ほぼ二分しています。

2つの主力の赤品種は、性格が対照的だと言われます。

  • メルロ:まろやかで、やさしい果実味が特徴とされる。ボルドーの中でも「右岸」と呼ばれるサン・テミリオンやポムロル、フロンサックで特に多い
  • カベルネ・ソーヴィニヨン:力強いタンニン(渋み)と骨格が特徴とされる。「左岸」のメドックやグラーヴの砂利質の土壌と相性がよいとされる

委員会のサイトでも、この2品種はブレンドで互いの骨格やまろやかさを補い合うと説明されています。同じボルドーでも、メルロが多い右岸はまろやか、カベルネ・ソーヴィニヨンが多い左岸はしっかりめという傾向があります。これを知っておくと選びやすくなります。それぞれの品種の味わいは赤ワインの主なぶどう品種で詳しく紹介しています。

ブルゴーニュ|ピノ・ノワールとシャルドネが8割以上

ブルゴーニュワイン委員会によると、ブルゴーニュの畑の80%以上がシャルドネとピノ・ノワールで占められています。内訳はシャルドネが48%、ピノ・ノワールが34%で、ほかにガメイ(10%)とアリゴテ(6%)も栽培されています。

そしてブルゴーニュの大多数のワインは、単一の品種から造られます。委員会はこれを「表現の純粋さ」と呼び、そのおかげで区画や収穫年ごとの個性が出ると説明しています。

  • ピノ・ノワール(赤):色が淡く、渋みが軽く、赤い果実の香りが出やすいとされる
  • シャルドネ(白):シャブリやマコネなど、ブルゴーニュの各地で白ワインに使われる

生産量では白ワインが6割強を占めます。「ブルゴーニュ=赤」のイメージを持つ人も多いのですが、実際は白の産地でもあります。シャルドネをはじめとする白の品種は白ワインの主なぶどう品種にまとめています。

※この章の数値は ボルドーワイン委員会「ボルドーのブドウ品種」「メルロ」「カベルネ・ソーヴィニヨン」/ブルゴーニュワイン委員会「ぶどう品種とその色」 より


ボトルの形の違い:いかり肩となで肩

売り場でいちばん見分けやすいのが、ボトルの「肩」です。

  • ボルドー型:肩が張った「いかり肩」。胴がまっすぐで、首との境目がはっきりしている
  • ブルゴーニュ型:肩がなだらかな「なで肩」。胴から首へ曲線でつながる

いかり肩の理由として「注ぐときに澱(おり)が肩で引っかかるように」という説明をよく見かけます。ただし由来には諸説あり、はっきりした定説はありません。

注意したいのは、ボトルの形は産地の証明にはならないことです。チリやアメリカなど、ほかの国でも同じ形のボトルが使われています。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロならボルドー型、ピノ・ノワールやシャルドネならブルゴーニュ型に詰められることが多くあります。「形で品種の見当をつけ、産地はラベルで確かめる」と覚えておくと間違えません。


ラベルと格付けの違い:シャトーのボルドー、畑のブルゴーニュ

ボルドー|生産者(シャトー)単位の格付け

ボルドーの格付けで有名なのが、1855年格付けです。パリ万国博覧会の機会に、ナポレオン3世がボルドーの仲買人に命じて作らせたものです。現在は88のシャトーが格付けされています。

赤ワインは1級から5級までの5つの等級に分かれます。対象はメドックの赤ワイン(例外としてグラーヴのシャトー・オー・ブリオン)と、ソーテルヌ・バルサックの甘口の白ワインです。

ボルドーの格付けは、この1855年格付けを含めて5つあります。ほかの4つは、グラーヴ、サン・テミリオン、メドックのクリュ・ブルジョワ、クリュ・アルティザンです。サン・テミリオンの格付けは10年ごとに改訂されるとされています。

ラベルでは、シャトー名(生産者の名前)が大きく書かれているものをよく見かけます。

ブルゴーニュ|畑の区画(クリマ)単位の4段階

ブルゴーニュには84の原産地統制名称(AOC)があり、委員会は品質の等級を次の4段階で説明しています。

段階 内容 ラベルの例
地域名 ブルゴーニュ全域などで造られる、手に取りやすいワイン ブルゴーニュ・アリゴテ、マコン・ヴィラージュ
村名 村の名前を名乗るワイン(44ある) ポマール、ニュイ・サン・ジョルジュ
プルミエ・クリュ 村名の中で、個性が特に認められた区画 村名のあとに区画名
グラン・クリュ 最上位の区画(33ある) 村名を書かず区画名だけ(コルトン、モンラッシェなど)

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ここで出てくる「区画」が、ブルゴーニュ特有のクリマです。特定の地質と気候の条件をもつ、はっきり区切られた畑の区画を指します。

つまりボルドーは「誰が造ったか」、ブルゴーニュは「どの畑で採れたか」を中心に格付けを考える、と整理できます。細部まで覚える必要はありません。ラベルの読み方の入口として、この違いだけ押さえておけば十分です。

※この章の数値は ボルドーワイン委員会「ボルドーの格付け」「1855年格付け」/ブルゴーニュワイン委員会「AOCを読み解く」「クリマとリュー・ディ」 より


初めて飲み比べるときの選び方

地域名表記の1本同士で比べる

最初の飲み比べは、ラベルに「Bordeaux」「Bourgogne」とだけ書かれた地域名表記のワイン同士で比べるのがおすすめです。ブルゴーニュワイン委員会も、地域名のワインを「お求めやすいワイン」「入門編に最適」と紹介しています。

格付けの高いワインや、熟成させるタイプから始める必要はありません。違いを知るのが目的なので、同じくらいの価格帯の赤を1本ずつ選ぶと比べやすくなります。

比べるときに見るポイント

  • 色:ボルドーの赤は濃いめ、ブルゴーニュの赤(ピノ・ノワール)は淡めのことが多い
  • 渋み:カベルネ・ソーヴィニヨンが多いボルドーはしっかりめ、ピノ・ノワールは軽めとされる
  • 香り:ブルゴーニュの赤はいちごやチェリーのような赤い果実、ボルドーの赤はカシスやプラムのような黒い果実の香りが出やすいと言われる

筆者も国内外のデイリーワインを飲み比べてきました。同じ日に2本を並べると、1本ずつ別の日に飲むより違いがずっと分かりやすくなります。開けたワインが残ったら、開けた後の保存方法を参考にしてください。

なお、同じ産地でも、年によって天候が違えば味わいも変わります。収穫年の考え方はワインの当たり年(ヴィンテージ)とはで紹介しています。

グラスは万能型で十分

グラスにも、産地の名前がついた形があります。ボルドーワイン向けのボルドー型は背が高めで大ぶり、ブルゴーニュワイン向けのブルゴーニュ型はボウルが丸くふくらんだ形です。

とはいえ、飲み比べのために両方をそろえる必要はありません。赤に使える万能型のグラスが1脚あれば十分です。グラスの形の違いは図で見ると分かりやすいので、初心者のワイングラスの選び方の比較図を参考にしてください。

飲酒についてのお願い:20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。 飲み比べをするときも、お酒は適量を楽しみましょう。妊娠中・授乳中の方、車や自転車の運転前、服薬中の方の飲酒は避けてください。アルコールの影響には体質による個人差があります。体調に不安がある場合は無理をせず、必要に応じて医師等の専門家にご相談ください。


もっと体系的に学びたい人へ

ワイン学のボルドー地図クイズの画面。左にサン・テステフ、グラーヴ、オー・メドック、メドック、ムーリス、マルゴー、ペサック・レオニャン、サン・ジュリアン、ポイヤック、リストラックのカードが並び、右に川沿いのボルドーの地図が表示されている
筆者が運営する「ワイン学」のボルドー地図クイズの画面(2026年10月12日に撮影した実画面)。アペラシオン名のカードを、地図上の対応するエリアへ置いて覚える。

ボルドーやブルゴーニュの地名は、文字だけで覚えるより地図と結びつけるほうが頭に残りやすいものです。上の画面は、当ブログの運営者が作っている自社サービスワイン学(ソムリエ・ワインエキスパート試験対策アプリ)の地図クイズです。

カードに並ぶマルゴーやポイヤック、ペサック・レオニャンは、この記事で出てきた「左岸」のメドック地区やグラーヴ地区のアペラシオンです。カードを地図の上に置いていくと、1855年格付けのシャトーがどのあたりに集まっているのかもイメージしやすくなります。この画面はログインしていない状態で開いたものです。

ワイン学は日本ソムリエ協会とは関係のない非公式の学習教材で、合格を保証するものではありません(自社サービスのご案内です)。


よくある質問

ボルドーとブルゴーニュ、初心者にはどちらが飲みやすいですか?

どちらが上ということはなく、好みで選んでかまいません。渋みが苦手なら、ブルゴーニュの赤(ピノ・ノワール)は色が淡く渋みが軽い傾向があるとされます。ボルドーの赤でも、メルロの割合が多いものはまろやかに感じやすいと言われます。まずは手ごろな地域名表記の1本ずつを飲み比べると、自分の好みがつかみやすくなります。

ボルドーやブルゴーニュのラベルに品種が書かれていないのはなぜですか?

フランスのワインは、品種名ではなく産地名(アペラシオン)を中心に表示することが多いためです。ボルドーの赤はメルロやカベルネ・ソーヴィニヨンなどのブレンドが中心です。ブルゴーニュは赤ならピノ・ノワール、白ならシャルドネが中心と覚えておくと、品種名がなくても味の見当がつけやすくなります。

ボトルの形を見れば、ボルドーかブルゴーニュか分かりますか?

目安にはなりますが、確実ではありません。いかり肩はボルドー型、なで肩はブルゴーニュ型と呼ばれますが、ほかの国や産地でも同じ形のボトルが広く使われています。産地を確かめたいときは、ボトルの形ではなくラベルの産地名を見てください。

飲み比べには専用のグラスが必要ですか?

必須ではありません。赤ワインに使える万能型のグラスが1脚あれば、2つの産地の違いは十分に感じられます。ボルドー型やブルゴーニュ型のグラスは、香りをより楽しみたくなったときの次の一歩として考えれば大丈夫です。

まとめ

  • いちばん大きな違いは、ボルドーは複数品種のブレンド、ブルゴーニュは大多数が単一品種という造り方
  • ボルドーの赤はメルロとカベルネ・ソーヴィニヨンが中心、ブルゴーニュは赤がピノ・ノワール、白がシャルドネ
  • ボトルはいかり肩がボルドー型、なで肩がブルゴーニュ型。ただし産地の証明にはならないので、ラベルで確かめる
  • 格付けは、ボルドーがシャトー(生産者)単位、ブルゴーニュが畑の区画(クリマ)単位で考える
  • 飲み比べは、地域名表記の手ごろな1本同士から。グラスは万能型で十分

出典


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最終更新日:2026年10月12日